隠れた秘密兵器

  Caché は、かつて「隠れた秘密兵器」と呼ばれていました。
  
  と言っても、Caché は特別な顧客に対してのみ販売していたわけでもなく、軍需品として扱われていたわけでもありませんでした。 コンピュータ関係の雑誌に広告を出したこともありました。ごく普通のデータベース製品として販売されていました。
  ところが、なぜかCaché はデータベース製品の表舞台に出てくる機会が非常に稀(まれ)でした。
  
  なぜ「隠れた秘密兵器になってしまったか?」については色々な理由が考えられます。
  
  1つには、あまりにも良すぎた、と言うことが考えられます。 具体的には、他のデータベース製品ではほぼ実現できない、と考えられるようなことが、いとも簡単に実現できてしまったり、 他のデータベース製品で同じアプリケーション・システムを作成する場合と比較して、30%から50%のコスト削減が容易だったと言う事実があります。 このことは、Caché を採用した企業にとって非常に大きなアドバンテージとなります。つまり、コンピュータ・システムに対する投資が抑えられることによって、 実質的に、その金額は「利益」としてみなすことが可能になるためです。例えば、あるデータベース製品を利用した場合、システム構築に10億円の費用が見積もられる場合に Caché を利用することで7億円で済むとします。(これに近い数字は実際にあったことです。)すると、Caché を利用することでセーブできた3億円は、 その企業の本来の事業活動に当てることができる費用となります。これは、企業の経営上の体力の強化につながると言えます。
  このように、Caché を利用するだけで他社に対する優位性を確保できるとすれば、わざわざ「当社はCaché を利用しています」とは言わなくなります。 こういった事例が多く、Caché の製品としての実力がありすぎたために、名前が世の中に広まらなかったと言うことが挙げられます。
  
  他の理由としては、時流に乗らなかった、ということが挙げられます。 コンピュータ・システムといえば「メインフレーム」といわれた時代から「ダウンサイジング」(最近聞かなくなった言葉ですが)への流れは非常に短時間に、多くなうねりとして コンピュータ業界に押し寄せました。このタイミングで脚光を浴びたのが「リレーショナル データベース・システム」でした。 リレーショナル データベースの「2次元表」と「リレーションシップ」という考え方が広く受け入れられたためでしょう。
  一方Caché はというと、「多次元構造で柔軟かつ高速処理」をキャッチフレーズにしていましたので、時流に対して逆らった方向に向かっていたと言えます。 現時点では、Caché にもリレーショナル データベース機能が装備されていますが、その時点ではこの機能は十分使えるものとは言いがたいものでした。特に日本語環境においては。
  
  その他にも、様々な原因が複雑に絡み合って、Caché は表舞台から遠い存在になってしまったようです。 しかし、表舞台から遠ざかったといっても、特定の分野(特に、医療分野)では特別な地位を確保するに至っています。

戻る